?背景・目的
巻貝の殻が等角らせんで規則的に巻くのは、体の左右で殻の分泌量に規則的な偏りがあるためです。従って、殻を分泌する外套膜の左側と右側で発現している何らかの遺伝子の発現量に、偏りがあると予想できます。
そこで、マキガイの一種 Lymnaea stagnalis を使用して、左巻き個体外套膜の左側と右側の発現プロファイル(図1)比較し、巻きの制御因子の網羅的探索を行いました。
実験方法
マキガイ外套膜より抽出したRNAより、HiCEP法を用いて合計11,588個の遺伝子発現プロファイルを測定し、それぞれの発現量を比較しました(図2)。左側、右側それぞれで特異的に発現する遺伝子の内、顕著な変動幅を示すものに注目してピークを分取し配列を決定しました。さらにRACE法によりcDNAの単離と配列決定を行いました。
現在までの成果
相同性検索の結果、左巻き個体の左側と右側でそれぞれ特異的に発現する遺伝子として、それぞれ銅イオン受容体ホモログ(ピークctct40)と発生・分化への関与が知られるgalectin
のホモログ(ピークgggg102)等を同定しました。現在 RNAiによる機能解析が進行中です。